たとえお隣でも、よそのうちは外国より遠い。違う空気が流れている。階段のきしみ方も、薬箱の中身も、よく口にする冗談も、タブーも、思い出も。
江國さんて、こーゆー空気みたいなものを表現するのがすごく上手だと思う。ストーリー性を求めて手に取ると、なんだか腑抜けになってしまうような。でもどこか、普段気にも留めないような、それでいて案外人間の深層心理に触れているようなこと。正に空気の様な存在。
手に取るタイミングが大事なのかな。彼女の他の作品もいくつか読ませてもらったけど、空振りだったものと、ストライクだったものとある。そういう意味で、彼女の本が全体的に評価を得てるというのは、誰しも心の奥底に根底に隠されてる部分にそっと触れるような文章だからなのかもしれない。
流しのしたの骨 (新潮文庫)

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